東宝特撮映画にJ.コットン、C.ロメロという著名俳優の出演には驚きました。特にC.ロメロとP.メディアの悪者コンビはどこかユーモラスで和製悪女の「黒い蛾」のロメロ扮する博士への嫉妬は真面目に演じていながらもどこか笑いを誘います(英語で文字通りクロイガと発音しているせいもあってか)。怪獣はグリフォンにはもう少し活躍して欲しかったですが、ユニークでそれにも増して、善悪共々兵器も独特で全てが従来とは一線を引いたユニークな作品に尽きると思い、一見の価値はあると思います。
少年の夢!カッコいい『少年空想科学冒険活劇』特撮映画!!おすすめ度
★★★★★
本作の魅力は『少年空想科学冒険活劇』である点です。
未知の深海への冒険、超科学万能潜水艦と敵の戦艦との科学兵器戦、宿敵マッドサイエンティストの悪魔の実験、
正義の秘密海底都市、巨大生物の闊歩する敵アジトの島での科学兵器を駆使した戦いなど、
少年時代の夢を満載した特撮映画です。
これを、監督:本多猪四郎×特技監督:円谷英二×脚本:関沢新一×音楽:伊福部昭、という最強の布陣で作製、
東宝特撮映画に海外キャスト・原案の入った、当時の少年には「カッコいい」イメージの作品になりました。
最高水準の特撮は、特に冒頭の海上シーンや、潜水艦合戦シーンなどのミニチュアや、その他の合成シーンが見ものです。
(「ぬいぐるみ(今で言う着ぐるみ)」はさすがに難しかったと思う)
DVDBOXでは、日本公開版、海外版(16分長い)、短縮版(大ネズミが登場しない以外は、カットを感じさせない上手い編集)を収録し、
それぞれに異なるオーディオコメンタリーを収録。
数々の特典では最も気になる未使用カットは、1分40秒ほど5カットで、いづれも緯度0世界の風景と人物の合成カットでした。
他のインタビュー、解説書(当時の製作過程でのトラブルを詳しく説明)、別冊のフォトブックでは初めて見る
スチール写真を多数掲載、本編でもそうですが特にリンダ・ヘインズ、中山真理が美しい。
昔はテレビやオールナイトでよく見たものでしたが、長年の夢であったソフト化がついに実現され喜ばしい限りです。
ぜひ、当時の少年のワクワクした感じを思い出し味わってください。
グリフォン弱すぎ!おすすめ度
★★★★☆
ゴジラ以外の東宝作品では怪獣が弱いのはお決まりバターンではあるが、潜水艦同士の海中戦、海底都市はすばらしい。あと、統制がとれているから政治はいらないという台詞が印象的である。そして海外版を観ることによって細部まで理解できるからよい。最近まで封印作品だったのがうそのような豪華版である!
こんなものまで出るとは思わなかった!おすすめ度
★★★★☆
実は数年前から海賊版のDVDを持っていました。尤も画像は悪いし、英語版で字幕は時々意味不明になります。東宝による、正規版のDVDを待っていました。というよりも待ちくたびれて、忘れてました。
今度はコレクターズBOXですか?びっくりしました。権利関係のゴタゴタでなかなか東宝でリリースできなかったようですが、これだけのものをリリースできるのですから、権利関係もすっきりしたのでしょう。
本作は東宝とハリウッド資本との合作で、気合の入った大作です。出演者も日米混成チームです。日本側では、おなじみの宝田明や岡田真澄(外人役)が出ています。初代ウルトラマン科学特捜隊のハヤタ隊員こと黒部進もチョイ役で出ています。アメリカ側では、名優ジョセフ・コットン(何で出たんだろう?)や60年代TV版バットマンのシーザー・ロメロなんかが出ています。
ストーリーはジュール・ベルヌの海底2万マイルみたいなものです。ネモ船長みたいな人や海底都市も出てきます。ストーリーはありがちな海洋SFですが、脚本的には最後の一ひねりと最後のセリフが印象的でした。この浦島太郎みたいなオチは個人的には好きです 。
特撮は今見るとやはり見劣りがします。当時はこれでも画期的だったんですが・・・
とはいえ円谷英二のミニチュア・ワークはさすが職人技です。今見ても味があります。ミニチュアはこの頃巨大化の方向にあり、本作では1/6のものまで製作したらしいです。円谷英二の特撮の一つの到達点かもしれません。
尤も、本作で出てくるぬいぐるみ系の怪獣(改造人間)は笑うしかありません。 これが本作の弱みでもあります。
通常版のDVDは、大事に持っているんだけど、たまに見ると恥ずかしくなる卒業アルバムみたいなものだと思っていましたが、ここまでほぼ完全なコレクターズ・ボックスになると、昔のラブレターが数十年ぶりに出てきたようで見るのが恐いです。
納得の出来
おすすめ度 ★★★★★
とても面白いじゃないですか
。値段の割には上出来。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!
概要
日米合作スタイルで製作された1969年のSF冒険映画『緯度0大作戦』は、日本語吹替えによる日本公開オリジナル・バージョン89分とアメリカで公開された英語版『LATITUDE ZERO』105分、そしてその後東宝チャンピオン祭り上映のために68分に短縮されたバージョン『海底大戦争』の3バージョンが製作されている。本コレクターズBOXはそのバージョンすべてを収納した特撮ファン必携ともいえるものだ。日本人俳優も撮影時は全編英語台詞を通していただけに、海外版のほうが素直に観られる利点はあるが、吹替えのほうも納谷吾朗などベテラン声優陣の味わい深い演技を堪能できるなど、甲乙はつけがたい。また時間が短い分、オリジナル版のほうが引き締まっている感もあるなど、それぞれの観方で楽しむのも一興だろう。初公開から37年にしてようやく海外との権利交渉がクリアとなっての初ソフト化もめでたい限り。この時期、日本映画界は各社ともに海外との合作を果敢に試みていたが、スケールの大きさではやはり本作がだんとつではあろう。(増當竜也)