これが「物書き」なのだと思う。おすすめ度
★★★★★
やっぱりこのひと天才だ、と常々感じる。
悲しくなるくらい、こういうひとが「物書き」なのだと思う。
傑作であればあるほど、くらくらと眩暈を感じる。
9つの短編からなる本作。
買ってからしばらくもったいなくて、寝かせておいたけど読み始めたらもうダメ。
読まずにはいられない。そして、この気持ちを残しておかなくてはいけない気がする。
まず、全体のタイトルともなっている【鼓笛隊の襲来】から、血の気が引く。
どうして?どうやったらこんな物語が書けるの?緩やかに鮮やかに、読む者に
衝撃を与え、巻き込む。まさにストーリー通りに。
実は三崎作品は、短編も長編も登場人物のインパクトはさほど強くない。
好きなキャラクターは、ときかれても困ってしまう。でも、誰もがしっくりと
その世界にはまっていて、「秩序がある」という言葉がぴったりくる。
ひとつひとつの感想を述べるのは愚だ。
三崎の世界は自分で読むことでしか近づけないし、初めて読むその時の
感動的とさえ言いたくなる、突き上げる気持ち・・・それを奪ってしまうことは
例え書評・読書感想文であってもしてはいけない気がする。
わたしの好みでいうと、【鼓笛隊の襲来】の秀逸さは圧倒的だが、
【覆面社員】【象さんすべり台のある街】も順当に好きだ。けどベスト3なら
【同じ夜空を見上げて】と【遠距離・恋愛】だろう。後者は心がじんわりと
あたたまるようのだけれど、ストレートにはやってくれない。こんなに短い
話なのに、ひとつひとつだけでエピソードを作れそうな、どこまでも濃厚で
なのにまったくそれを感じさせない、すとすとと通り過ぎるような読後感。
前者の話は、似たような話を他の作者で、他の物語で読んだ事がなくはない、
そんな物語ではあるのだけれど、泣いていいのか、微笑んでいいのか、
実に読者を困らせる。心を、掴む。
発想だけ、ストーリーだけ、筆致だけなら、他にも類似の作者はいるかもしれない。
だけど、それらを全て持ち合わせ、美しくタクトをふれるのは今のところ三崎が
ダントツだ。絶対に信頼して買える。裏切らない。そばにいて欲しい、そんな本。
相変わらず、冴えてますおすすめ度
★★★★★
最初の1行を読んで、迷わず買った。相変わらずの三崎ワールドが広がっていた。短編一つひとつ、にやにやしながら読み進んだが、読後感は実に爽快だ。一見わけのわからない不条理なことが書いてあるようでいて、実はとても身近にあることだったりすることに気がつく。覆面をして出歩くことが許可される話などは、比較的わかりやすい方だろう。と、後で屁理屈をこねるのも楽しいが、そうでなくても筆力のある作家さんであるから、面白く読ませる。
買うしかない!
おすすめ度 ★★★★★
言うまでもなく最高峰
。他の方がコメントされているとおり、
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!