これはやっぱりマンガじゃなくて、アートなんだよおすすめ度
★★★☆☆
東京芸大先端芸術表現科の主席卒業だとか、芸大初のマンガ買上げ作品だとかいう噂に惹かれて読んだ。で、面白かったかと聞かれたら、まあ…。
いや、つまんないワケじゃない。特に「ぼっつ」が発病し、画面に黒の面積が増え始めてからは最後まで死の影が漂い続け、ハラハラしながら読み進んだ。
じゃあ独特か、と聞かれたら、これも…。私には絵柄を適切に形容するだけの素養が不足しているのだけれど、たぶん佐々木マキとか、とり・みきとか、赤瀬川源平とか、ひさうちみちおとか、つげ義春とか、高橋葉介とか、「こーちゃん」は佐藤さとるのコロボックルみたいだし、いろんなものを連想した。
商業的なマンガ作品としてみたら、成り立たないと思う(ま、成り立たなくてもかまわないケド…)。これで採算が採れたとしたら(だって第2作も出てるんだし)、私が買ったのと同じ理由でじゃないか。芸大主席。マンガ初買上げ。
作者はあとがきで「奇的の発行は、事件です」「作品そのものよりも、現在に至るまでの経緯に評価が下された」と記しているが、とても正確な認識なのじゃないか。つまり、芸大のマンガ初買上げ、作品出版、大久保の売り出しという一連の出来事が、作者の師匠・日比野克彦の仕掛けた一種のパフォーマンスというか社会彫刻というか、つまりはアート(or商売)だと考えるべきじゃないか。また東京芸大新設学科の所信表明演説みたいなモンでもあるんじゃないか。
だって日比野は言ってるじゃない、大久保の、「外在する世界においての運動神経が問われる時が近づいている」(p219)って。打ち込んだ人間魚雷の戦果を祈る船長みたいな気持ちじゃないかな。
私としても、コトのゆくえは気になる。
芸大先端芸術科における地獄変おすすめ度
★★★☆☆
これは東京芸大先端芸術科主席卒業のアーティストの漫画で、「つげ義春全集」等で有名な青林工藝舎から出ている。
芸大の先端芸術科というところは作者で二代目の卒業生を出す新しい学科であるが、その先端芸術科というところはどういうところかのルポにもなっている日記的な作品。現代芸術らしく創作の過程そのままがパフォーマンスとして表現になっている。
作者は日比野克彦氏に指導を受けていて、その解説によると、「身体表現に適した人物」であったという。しかし本作品を見ると、この作者は芸大を、芸大の「先端」に実験を、身を通じて担ってしまったかのように不治の病に罹る、有る意味では壮絶な作品である。殆ど自己暴露していて、読むものはどうしたらよいのか途方に暮れるところがあるが、モンチッチに似た写真が何とか応援したくなるところがこの作者の人徳かも知れない。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
今回の発売がすごく嬉しいです
。TOP100ランキングに入っているのでご存知の方も多いと思いますが、
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!