タイトルと表紙絵だけだと、マニアックな印象を受け読んで見たいと思わなかった。けれど帯の小さいメモを読み、とりあえず一巻だけ、と。一話目は、なるほどエンバーマーはそういうことをして、遺族の悲しみを和らげることが仕事なのだなと、短くかなり展開速く描かれながらもわかった。ところどころに主人公の女グセの悪さが描かれるけれど、読み進むと血の通う人間らしい理由がわかって、少し切ない。ストーリー構成はとても上手で、考えてしまう。とにかく、おもい。
生者と死者の間でおすすめ度
★★★★★
主人公の間宮心十郎は女たらしだが腕のいいエンバーマー。
彼のもとには様々な死因で亡くなった遺体が運ばれてくる。
心十郎の手によって死者は生前の輝きを取り戻し、遺族のもとへ帰っていく。
その美しく安らかな死に顔は遺族の悲しみをも浄化する―。
エンバーミング(遺体衛生保全)という日本では耳慣れない職業を題材にした異色の作品です。
生と死をテーマにした一つ一つのストーリーが心に染みます。
絵も美しい。独特な描線、登場人物の台詞やファッションも素敵です。
心十郎がカッコいいです。一見クールでいい加減な男に見えますが、実は努力家で結構純情だったり。
ナンパなくせに本気の恋愛には不器用で、アズキちゃんといる時の彼は好きな女の子を苛める小学生男児のよう。
そんな心十郎に振り回されつつ世話を焼くアズキちゃんは心優しい可愛い女の子です。
二人の恋の行く末や如何に―?
この巻では、事故でひどい傷を負って亡くなったプリマ・ドンナと残された婚約者のお話が泣けました。
全巻お薦めですが、個人的にはこの1巻と心十郎がエンバーマーになるまでを描いた3巻がお気に入りです。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
今回の発売がすごく嬉しいです
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
買って良かったと思います。