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蝉しぐれ (文春文庫)

藤沢 周平
おすすめ度:★★★★★
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少年から大人への繊細かつ深い描写
おすすめ度 ★★★★★

純粋な少年剣士牧文四郎に突然、尊敬していた父の切腹、家禄の召し上げ、淡い想いを抱いていたおふくの奥入りと、少年に理不尽な不条理がつきつけられる。
藩内の人からも非難される中、剣に打ち込むことで心身ともに強くなっていく文四郎。
しかし、逞しく成長した文四郎だが、本人の意思とは別に権力闘争に巻き込まれていく・・・
いつもの海坂藩を舞台として、少年の成長のさまを描いた作品。
目の前に浮かぶような景色と少年から大人へと変わっていく繊細な心の動きの描写が読者をぐいぐいと引き込んでいきます。
著者の作品は重厚で玄人好みともいえるものが多いですが、これは比較的若い人にもお勧めしたい一品です。



作家の力量
おすすめ度 ★★★★★

風景描写が素晴らしい。精緻な文章とはこうゆう文章を言うのだと思えた。
純粋な文章の表現力に驚くことは少いが、GWに実家で父親の本棚にあったこの作品に驚いた。ファンが多いのは知っていたが、藤沢周平が優れた作家であると遅ればせながら知った。
主人公は江戸時代、北国のとある藩の下級武士の子である。当時の武士の子弟は儒学や剣術に励み、将来の官吏としての修行に励む。幼少から主人公は剣に抜群の才能をみせる。
藩の権力争いによる父親の横死などの困難に耐えながらも友情や剣術に励む姿が描かれる。その話の展開は無駄が無く、無理が無い。
奇抜な展開で構成された小説と対極に位置するような、丁寧な描写と無理の無い展開による構成は同時に強い説得力とリアリティを持つ。
主人公は平凡な半生を送るのではない。しかし、抜群の剣の腕前を持ちながらも、やはり主人公は普通の人間であり、藩という組織の内部抗争に翻弄される下級武士である。剣は主人公を助けるが、主人公を超人にはしない。

主人公は良い結末を迎えるが、読後に残るのはやはり切なさである。不幸な結末となった人々や藩という組織の非常さ、抗いようもない下級武士の悲哀、過ぎ行く少年期、それらに対する緻密な描写が主人公の活躍があっても心躍る物語ではなく、切ない物語にしている。
印象的な場面が多々ある。
冒頭の自然描写。
物静かな父が大声を上げて進言し、その確固たる良心に日頃の尊敬の念を深めた場面。
主人公が死罪となった父に思いを伝えられなかったことを悔やむ場面。
刑死した父の遺体を荷車に載せて牽く主人公の描写。
先輩の官吏に従って野山に分け入って農村を巡り、稲の作柄を相談する場面。
上げればきりがないが、精緻な文章がそれぞれの名場面を表現しており、それらが無理のない展開で連なっている。
それぞれの名場面の描写はおそらく、作者が相当の労力を掛けて書き上げた労作と思われる。そう思えるほど良く練られており、緻密である。



どっしりとして歴史小説
おすすめ度 ★★★★☆

藤沢作品を初めて読んだ。

文章の流れがきれい、剣での戦い場面はグイグイ引き込まれるような表現、主人公とその周りの人たちの言葉、ストーリーの進め方 

脇目もせず、どっしりとして大河小説のような安心して読める歴史小説ですね。

これまで、有名な歴史上の人物の歴史小説を読んできたが、蝉しぐれのような歴史小説もとても面白いのですね。

落ち着いて読むには、藤沢作品はとても良いと思います。



まだ読んでいない人は
おすすめ度 ★★★★★

この小説を表現できる言葉が見つかりません。

何度も何度も、繰り返し読んでいますが、そのたびに新たな感情が涌き起こってきます。
ただストーリーのおもしろさに酔うのではなく、語られる言葉のひとつひとつを、
味わってみたくなる。

まだ読んだことのない方は幸せかもしれません。
これから素晴らしい世界を味わうことができるのですから。



一途さの美しさ
おすすめ度 ★★★★★

「単純」という言葉はあまりよい意味では使われないが、単純であることを、私は男の美しさと思っている。単純さは一途さであり信念である。決して華やかではないが、雑音に惑わされずに立っていることのできる男を、藤沢周平は好んで書いた。私もまたそういう男を美しいと思う。



まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★

これが発売されるのを心待ちにしていました 。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!



藤沢周平 動画

藤沢周平



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