DVDを買ったのはつい最近だが、決して忘れられない映画。ソフィア・ローレンの姿が映像に映るや否や、もう既に涙が出そうになる。信じられない位の演技の幅を内包して生まれてきてるんではないかと思う女優である。演技が演技に見えないんですよ。普段の生活の有り様を映像にしたと言うような「物凄さ」がある。私だけでしょうか。容姿も勿論背が高くて魅力的な顔立ちなんだが、姿があって演技があるのでは無く、演技の中に全てが飲み込まれているという感じだ。悲惨な戦争が引き裂いた「愛」の終焉はやり場の無い苦しみと悲しみの中に晩夏の赤トンボの尻尾のようにプツンと切れて‥‥。
これほどの悲恋が他にあるか・・・?おすすめ度
★★★★★
(大まかな話)
結婚して間もなく徴兵された夫を待つ妻(ソフィアローレン)。夫は生きるか死ぬかの過酷な環境を生き抜き、記憶喪失となる。現地でロシアの若い娘に介抱され、命を取り留めるも、過去の記憶は戻らない。自然ななりゆきでロシアの娘と結婚する。一方残された妻は、一途にも義母を見ながら夫を探し長い年月を過ごす。後年、夫の所在がわかりロシアへ行くが、再会するも、結ばれず帰途することになる。
新婚当時は、浜辺で抱き合ったり、巨大オムレツを作るなど微笑ましくも激しい愛で結ばれている。若いソフィアローレンは肉体美も美しく、スクリーンでもとても魅力的な女性である。式では、ドレス姿で丘を駆け下りて幸せいっぱいに希望に満ち溢れている。
夫が徴兵されてから戦地(旧ソ連)での映像は、見ているこちらが寒くなるほどにリアルで、戦争の恐ろしさが、「国旗」を象徴した乱雑な映像から伝わってくる。
ロシアの娘と夫の生活は穏かで、温かい幸せそのものだった。一方、ソフィアローレンは痩せてやつれて夫を待つ苦労が伺える(役作りもすごい)夫の幸せな現実を壊すまいと気丈にも別れる決断を。もう夫には二度と会えないであろう、帰途の途中で、元妻は一面にひまわり畑を目にする。音楽と相まって、霧消に悲しみがこみ上げてくるシーンには圧巻である。
これほどの悲恋が他にあっただろうか・・・。
大人の恋愛・愛情・戦争の悲惨さを描き出し、役者も素晴らしい映画。まさに永遠の名作。
良い出来でした
おすすめ度 ★★★★★
とても面白いじゃないですか
。非常に洗練された魅力的なものになっていると思います。
ホント満点を付けても良い出来です。
概要
さんさんと輝く太陽に向かって、誇らしげに大輪の花を咲かせるひまわり。その太陽とひまわりを、男と女に例えた作品である。戦争に行ってしまった愛する夫、アントニオ。ひたすら彼を待ち続ける妻、ジョバンナ。終戦後も帰ってこない夫を探すため、ジョバンナは単身ロシアに足を踏み入れる。
徐々にやつれ果てていくジョバンナの姿は、見ていて痛々しい。第二次世界大戦によって切り裂かれた男と女の運命を、壮大なスケールと美しい映像でつづった超大作だ。監督にデ・シーカ、主演にソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ。ほか、多くの傑作を世に送りだした映画界の巨星たちの代表作としても知られている。あまりにも有名となったテーマ曲は、この作品でアカデミー賞作曲賞にノミネートされた。70年、イタリア作品。(齋藤リエ)