姫と麻薬と火炎放射器おすすめ度
★★★★☆
◆#13「粗野にして美味」
▼概要
マーチスと隣国の姫・セッティエームが、
“粗野にして美味”なホットドックを求め、
繰り広げる“ローマの休日”的挿話。
▼感想
作品全体からすれば、息抜き的な“萌え”の回である一方、
無法地帯となっている「0番地区」や、税金を納められず、
もぐりで営業する屋台など、
戦災の爪痕も忘れずに描かれています。
幼い頃から、実の兄や姉と権力闘争に明け暮れたことで、人を利用し、
弱みにつけこむことを当たり前と考えているセッティエーム。
そんな彼女が、マーチスとの関わりで、より深い「知恵」に目覚める様は、
少々ご都合主義的ではありますが、やはりカタルシスがあります。
◆#14「焔、いまだ消えず」
▼概要
帝都の地下水道には、地方からやって来た、多くの難民が住みついていた。
しかし、そこは民営の水道局・ミヨン社の所有地であるため、
アリス達は、難民を国営農場に誘導しようとする。
その際、水道局の職員が、常習性薬物「ヒンメル」を
難民に売り捌いていることがわかり…。
▼感想
「麻薬」という腐敗の象徴により、搾取する者/される者、
両方の心が荒廃している様が描かれます。
そして、過去の自分という“亡霊”に苦しむオーランドは今回、
自分と同じく「不可視の9番」である〈908HTT〉のハンスと邂逅します。
彼の放つ炎が、暗い地下水道で燃え上がる様は、戦争という火種が、
未だ暗闇でくすぶっているようであり、戦慄を覚えさせられます。
◆#15「迷走する選択」
▼概要
アリス達が、ヒンメルの売人である水道局員を逮捕しても、
社長のミヨンに保釈金を積まれ、すぐに釈放しなくてはならない。
しかし、それでも現行犯逮捕をし続けるアリス達に対し、
ミヨンはその度ごとに保釈金を積み続ける。
そのようなイタチごっこが続いていたのだが…。
▼感想
ヒンメル常習者の男と、その娘のため、
オレルドが「悪役」を買って出るのは、相変わらずかっこいい。
しかし、そんなオレルドに柄にもなく不器用にのっかっていく
マーチスに対し、より多くの拍手を。
人の自尊心を呼び覚ますため、自らを投げ出す彼らの行動こそ、
戦災復興を実現する小さいけれども大きな「一歩」なのかもしれません。
そしてラスト、裏で糸を引く謎の結社の存在がほのめかされます。
人を見て情けを知るおすすめ度
★★★☆☆
岩永亮太郎原作・月刊少年マガジン連載の
「パンプキン・シザーズ」TVアニメの第13〜15話までを収録したDVD5巻です。
新たな「不可視の9番」の存在が現れ、事態は混迷の色合いを強めていきます。
Episode:13「粗野にして美味」★★★★☆
隣国ローデリアの姫セッティームがお忍びで帝国を訪れるエピソードです。
謀略の世界で生きてきた彼女が偶然出会ったマーチスとの一悶着の中、
人としての情けを知り人間らしく成長する様がなんとも心晴れやかな気分にさせてくれます。
ちょっと勝気なアリス少尉にも似た、幼い姫様のツンデレぶりに萌えましょう。
Episode:14「焔、いまだ消えず」★★★☆☆
地下水道各所の難民誘導から始まる水道局員達の堕落を強調した物語です。
人の弱みに付け込む彼らの陰湿さも相まって、保釈金で釈放されようが、
何度も彼らを追い詰め不正を打ち砕く陸情3課のたくましさは見応え充分。
徐々に過去の殺戮兵器としての自分が体を蝕み始めるオーランド伍長の動揺が
次回への緊張感を煽ります。
Episode:15「迷走する選択」★★★★☆
ついに接触する901ATTと908HTTの二人。地下を燃やし尽くす程の火力が圧倒的です。
彼らの全容は部分的にしか語られず、謎が謎を呼ぶ展開に疑念は尽きません。
また、難民の根本的な解決のため、3課の二人が体を張って一芝居打つ場面は
人情味溢れる優しさに安心感を覚えます。今回は特に戦災の傷跡が加害者にも
被害者にも及んでいる様を描き、帝国の腐敗の輪郭を際立たせている点に要注目です。
上出来
おすすめ度 ★★★★★
とても面白いじゃないですか
。ファンであれば購入価値は高いかと存じます。
ホント満点を付けても良い出来です。